フカグツ  
 昭和20(1945)年代までは、石黒での冬季の子どもの履物(はきもの)は主にフカグツであった。
 通学時も、遊ぶ時もフカグツをはいていた。軽く暖かく、滑らず、そのうえ丈夫で長持ちした。
 中学生になると自分のフカグツは自分で作った。
 靴の中の底が湿ってくると靴底に敷いたワラを取り替えると即座に快適となる。また、スキーカンジキの留め具にもしっかりと固定でき便利であった。冬の履物としては実に優れたものであったと思う。
 しかし、春先になり雪解けの頃になるとフカグツは水がしみ込むのでゴム長靴が欲しかったものである。濡れたフカグツは囲炉裏の近くに置いて乾かした。
 だが、太平洋戦争の敗戦前後の頃は日本中どこにもゴム長靴など売っていなかった。古いものがあっても保温が悪く、底が磨り減ると坂道の多い石黒の雪道はすべって転倒するので危険であった。 底のすり減った長靴にはワラ縄を巻いて滑り止めにして履いた。

関連資料→冬の履物
関連資料-ワラグツのいろいろ