御布告用留-郵便取扱所についての通達  田辺重順家文書  用語の手引き
  後志-しりべし


胆振-いぶり


脇往還


港津






  
 来る七月朔日より北海道後
 志(しりべし)胆振(いぶり)両国以北を除く
 外国内一般諸街道 脇往
 還共県庁これ有るの地は勿論港
 津市駅等公私の要事
 繁多の地は総じてその地の
 模様により毎日あるいは隔日或いは
 は毎月五、六度ずつ往還の
 郵便相開き右往還筋近
 傍の市村にも夫々往復
 相成り候条従前の規則相心
 得信書当右地郵便役
 所及び郵便取扱等へ差し
 出すべき事
     六月
 七月朔日より郵便御開き
 仰せ出され候に付き右取り扱い書左の
 通り設置候条書状差出度き
 者遠近を論ぜず差し出すべく候
  〇匁


〇小前


〇柏崎県庁


潟町


〇高田


〇新井


〇関山


〇長浜


〇名立


〇能生


〇糸魚川
  
 賃銭の儀は書状目方四
 匁内は二十五里内銭百文
 それ以上は割合を以って賃銭受け
 取るべく筈 尤もその段は右取り扱い
 所に標札掲げ置かせ候条
 右の趣 小前末々迄漏らし無く
 触れ示すべきもの也
  七月 柏崎県庁
  郵便局取扱所
 柏崎  丁子屋 彦兵衛
 潟町      田中健次郎
 高田      吉田耕朔
 同       関民次郎
 新井      宮越伴治
 関山      村越芳郎
 長浜      小林六郎兵衛
 名立      橋木善次郎
 能生      中村健次郎
 糸魚川     小川安右衛門
 
  青海


〇市振


〇出雲崎


寺泊


〇長岡


〇小千谷


〇塩沢


〇十日町


  
  青海    斎藤吉次郎
  市振    菊池宏二
  出雲崎   野口弘平
  寺泊    本間治平治
  長岡    平沢彦作
  小千谷   東 勇
  塩沢    大塚敬一郎
  十日町   小林伊八郎
  今般 大小銃砲弾薬等売
 買免許定員置かされ候について
 は軍用銃は勿論たとえ猟
 銃たり共鍛冶職と相対を以って
 私に制造致し候義相成らず候条
 心得違いこれなき様洩れなく
 触れ示すべきもの也
  壬申
   七月      柏崎県庁
 読み下し・用語の手引き文責  大橋寿一郎  

 明治4年(1871年)にイギリスで郵便事業を視察した前島密は、帰国すると駅逓頭を任命され、翌年に全国に郵便網を整備し、6年には全国を同じ料金で配達する均一料金制度を実施した。

 とくに、国家財政に直接経営の余裕がなかった当時、地方の元庄屋や資産家などから無償で住宅の一部を郵便局舎として提供してもらい、取扱人及び、取扱所とする画期的な制度の創設は、歴史的な快挙ともいうべき事業であった。
 当時 の風潮として、民間人が国家の仕事にかかわることは名誉に思われ、また郵便事業の社会的役割が認 められていたので、この特定郵便局のシステムはスムーズに整備されたものと思われる。
 しかし、 その職の世襲が認められていたため、その後批判もあったが、2007年の郵政改革により 法的には改正された。

この古文書は「壬申」または「柏崎県庁」とあることから明治4年の文書であろう。
 
高柳町の岡野町に郵便物取扱所が開設されたのが明治7年でありその普及の速さは、注目にあたいする。
 石黒には昭和11年に上石黒屋号ハツカブロウに設置。

 (文責-大橋寿一郎)