恐れながら書付を以って嘆願奉り候  用語の手引き
 
官内


旧幕


○去→去年蝋月(ロウゲツ)-12月の意味か


開作


夫喰


鑃立(せりたて)


付け借り


下知


小民


小前百姓


窮民


人気


門所→(難読語句)


諭す→説得する


返役→(難読)
 ※


○御出役


○御廻村


下知


山室村


清水谷村


尾町村


善根村

嶺村


石黒村
































 
 
    恐れながら書付を以って嘆願奉り候
 当御管内旧幕村の総代申し上げ奉り候 去る蝋当所
 開削夫喰願い置き奉り候處 当三月中は御下げ渡し
 御下知の義なく最早農業に肝要の時節に
 候得ば小民 三月末より近々付け借り?立て難渋
 これ有りと申し聞かせ置き候得共 今般小前承知
 手当仕り置き 最早この上手段尽き果て当惑
 至極罷り在り候 然る上は拝借御沙汰御座なく候得ば
 窮民共人気に相飽き(抱?)村々より御門所(訴か)などの義
 計り難く万一右艇の義出来仕り候ては私共
 御上様へ対し恐縮の至りに御座候得共とても
 手当方行き届かず村々追々同様の体 相
 見え候得共諭し方仕るべく様御座なく候 且つ又村
 
 

 役人ども右願い方手落ちにこれ有るべく由と
 小前の飢え死に希に存ぜられ候や 御聞き済ましこれ無き上は
 返役致さるべくと私共一同嘆願に罷り出で候様申す手分け御及び難く
 当惑至極に存じ奉り候 このまま捨て置き候得ば渇死人
 出来候は顕然に御座候 右の次第は先般御出
 役様御廻村の節 御承知在らせられ御座候義と
 御座候間 折角御拝借御聞き済まし下され置き候義と
 御座候得ば急の御沙汰下し置かれ候様偏に懇
 願候何卒格別の御仁慈をもって小前御救いとして
 御下知下し置かれ候得ば畢竟寛大の御沙汰
 
 故 大小の百姓永続仕り有り難く仕合せに存じ奉り候 以上
  明治三年
     四月          旧幕惣代
                 山室
                  庄屋 与三治
                  清水谷 長兵衛
                 尾町村 治兵義
                 善根 忠三郎
                 嶺  六右衛門
                 石黒 重左衛門
読み下し・用語の手引き文責 大橋寿一郎