備 考
本書簡文は、読解力に乏しい自分には難読文字が多く、この程度に読解するにも多くの時間を要した。なおかつ、読み進めても手紙の要旨がなかなか読み取れなかった。
書き出しの「一件」とは何か、有名な山中騒動に関するものかなどと思いながら読み進めて行くに、「高尾村」または「音物」など言葉か出てきたときに漸く、領主替えについての取り消しの請願に関わる文書ではないかと気がついた。山中村及び高尾村の幕領から長岡藩への領主替えが行われたのは文久2年であり、徳兵衛が山中騒動で庄屋職を免ぜられたは、その2年後の慶応元年である。この時、大五郎は未だ13歳であり叔父の初衛門が後見人となる。つまりこの手紙は宛名は大五郎であるが差出人の藤右衛門は後見人の初衛門を意識して書いたているように想われる。
手紙の最後に、大五郎宛てであるにもかかわらず、「大五郎様に差し上げられ度候」などあるのは、それを裏付けるものであるようにも思える。
以上、読めない文字も数か所あり読解というより憶測に近い所も多いが、自分にとってこうした推理推測こそ、古文書読解の面白さであるので、読解中の段階で臆面もなく文章にしてしまう衝動に駆られてしまった。
さらに、「この文をお読みの方でお気づきの方の御指導を乞う」という文を書き足すなら、まさに厚顔無恥と言われても仕方ないが、これこそ漸く到来したWEB時代の、自分のような先のない80才余の学習者には許される特権だと開き直っている。(2018.12.15)
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