昔の男の子の遊び
                        田辺雄二
 昔(昭和の初め)男の子の遊びは、夏、冬ともに色々ありました。
 待ちに待った春がやってきて雪が消えて地面が乾くと「陣取り合戦」という遊びをやるのでした。その遊びに使う玉はビー玉など買えない時代でしたので自分で土をこねて作るのでなかなか面倒なことでした。
 玉はただの土を丸めて作ったのでは落したりぶつけたりすると割れるので大人に聞くと田の畔などにある粘りの土がよいとのことで、その土を取ってきてよくこねてから直径2cmほどの球に手の中で丸めました。そして最初は陰干しをしておきある程度乾いてきたら今度は陽に当ててかんかんの硬い玉にしあげました。そしてクレヨンで色を塗る人もいました。今考えると田の畔の土には堆肥やワラなどの繊維が混じっているため乾いても割れなかったのだと思います。
 そうして作った玉をみんなが20個くらい服のポケットや着物のたもとに入れて集まり、遊んだものでした。
 遊び方は、地面の上に1m四方の線を引きその中に対角線を一本引き2つの陣地をつくります〔写真下〕。そして2人でお互い玉を1個ずつ出し合い相手の玉をめがけて右手の中指ではじき相手の玉に当てますと相手の陣の場所に右親指をコンパスの足にして円とか半円を描き、早く相手の陣地を円や半円で埋め尽くしたほうが勝ちとなり、決めた数の玉をもらうことができるのでした。
 同じ遊びですがお互いに立って足元に相手の玉を置いて目の高さから狙いを定めて落し当りますと相手の陣地に指で線を引くのでした。
 長い雪の冬がやってきますと、グラウンドのすみの方に番場(雪を踏み固めた場所)を作り、木の杭を投げて切上に立て相手の杭を倒すと自分の杭にできる「杭打ちとり」という遊びをしました。
 杭の長さは50〜60cm。直径4〜5cm位なもので秋のうちに林の中に入ってまっすぐな木を見つけ10本くらいずつ用意しておきました。 まず、各自が自分の杭を頭の高さから投げて雪に差し込みます。そしてジャンケンで順番を決めて自分の杭をとり頭の上から相手の杭を目がけて投げて自分の杭は雪に突き刺さって立ち、かつ相手の杭を倒すことができれば倒れた杭を獲得できるという遊びでした。
 先を尖らせた杭を投げる遊びのために注意するように先生に言われた事もありましたがなかなか面白い遊びだったと懐かしく思い出しています。