ひとらごと   DATE20190729

 

    石黒HP「白山吹の花と実」の記事にひかれて
                     大橋末治(2019.07.28)

「七重八重花は咲けども山吹の実の一つだになきぞ悲しき」
寿一郎様と同様、中学の国語(大橋康邦先生)の授業で聞いたことを思い出しています。山吹の花に実がないことは、その後、身近にある山吹の花で幾度となく確認し、周囲からも山吹に実が成る話は聞いたことがありません。「実の」を「蓑」にかけた機転の見事さに、大いに感心させられていました。
 一方、寿一郎様の長年の研究調査や、実際に山吹の実を自ら育成され4年も費やして実証実験で確認されたとのこと、素晴らしいお話ですね。寿一郎様の緻密で丁寧な生物に対する観察姿勢に、何時もながら感服しています。


 <追伸>太田道灌の「蓑にまつわる実のお話」と、寿一郎様の「白花のヤマブキの苗木にまつわる実のお話」には、いずれも若き優れた素晴らしい女性が関わっており、その後の努力が大成に通じる、ところなどが重なり、ロマンを感じます。(“山吹の花”にまつわるお話は、何方もご存知のことですが、蛇足ながら;
 鷹狩の帰り道、にわか雨に遭遇した若き日の太田道灌が貧しい農家を訪ね、蓑を借りたいと頼んだ。出てきた聡明な少女は無言のまま、一度奥に引き返すと山吹の花、一枝を差し出した。「ワシが借りたいのは蓑じゃ」と言って道灌は怒った。しかし娘は平伏し、山吹を指し出したままだったと言う。
結局、道灌は蓑を借りることが出来ず、その場を立ち去った。後で家臣から、少女の行為は、首記の古歌に寄せて、蓑ひとつさえ持てない悲しさを山吹の枝に託したもので、「実の」を「蓑」にかけ機転のきいた断り方をしたのだ、と聞かされた。そこで、道灌は自分の無学を恥じ、それ以降、猛勉強し、歌人としても大成された人物であったと言う。太田道灌は、江戸城築城でも有名)

             おわり