ひとらごと   DATE20151215

 

 

           里帰り記

                            大橋末治

急に思いたち11月中旬、4年振りに里帰りをした。妻も運転ができるので途中宿泊しながらゆっくりと車で往復することとした。寄り道をしながらの旅であり全走行距離は約1,300kmとなった。少々間延びした感もあるが910日間の旅となった。何分、愛知・岐阜・長野・新潟の各県を走破したことになる。因みに、国内の北海道を除く都府県別面積ランキングでは、1位:岩手、2位:福島、3位:長野、4位:新潟、5位:秋田、6位:岐阜であり、上位クラスの3県が入っている。特に南北に長い長野県を縦断したのが距離を稼いだ要因と考えている。道中は長く、高速道路も完備しているので退屈なドライブになるかと覚悟していたが、口のうるさい免許保持者が隣におり「スピードの出し速すぎ」「ブレーキが遅い」「脇見をしないで」などと注文が多く、結構賑やかな旅となった。

出発前は、ドライブ中に目に入る山々の装いは紅葉を過ぎ、どちらかと言えば冬景色に近いと思っていたが、今年は暖冬のためか行く先々で素晴らしい紅葉が観賞でき幸運だった。長野県では諏訪湖畔の真っ赤なモミジやナナカマド、姥捨て山サービスエリアからの目の覚めるような秋の光景、信越高速道路ドライブ中の車窓からは秋の装いをした遠くの山並みが、まさに山笑う/山燃えると例えられる光景であった。黒姫・妙高近傍では朝起きると車の上は落葉で覆われ車の色が分からないほどであり、高原地帯では樹木が冬支度を急いでいるのを肌でも感じられた。

柏崎では海岸線に位置した宿をとったので、米山や赤色の米山大橋が絵に描いたように窓越しに映し出され感嘆した。その上、景色に見とれていると、日本海の佐渡ケ島南端の水平線上に一端を海面に突っ込んでいるような七色の虹が出現した。しばらくすると、一筋(ひとすじ)の虹が成長する横で二つ目の虹が並んで出現した。二筋の大きな虹は海面上から天空に向かって、アッと言う間に大きく発達し頭上を越えどんどん伸びていった。瞬く間に窓の視界からはみ出していった。窓から顔を出し、虹の伸びていった先を確認することはできなかったが、おそらく、半円を描くように180度にわたって成長したのではなかろうか?このような光景は75年間の生涯で初めてのことであり驚いている。

十日町市では松代町の芝峠温泉(雲海)に泊った。最上階の部屋で、早朝、カーテンを開けると、目の前には刻々と変化していく雲海が一面に広がっていた。日の出と重なり、太陽の発する金色の光線が雲海面を飛び交い、この観望も筆舌に尽くし難い風景であった。その他、六日町の八海山ロープウエー、軽井沢・佐久平などで、それぞれの紅葉を楽しむことができた。


       釜坂峠上り口  石黒地区寄合

最後になりましたが、柏崎では石黒中小学校時代の友達が多忙の中、わざわざ会いに来てくれた。時間を忘れ、子供の頃の話や現況などを語り合うことができた。丁度「カラムシ街道祭り」が終わった時でもあり、祭りには石黒住民の数倍の観客動員があったと聞き、祭りが極めて盛大だったことも伺った。背景には関係者の懸命なご努力・ご協力があったことも改めて知った。友達には直接・間接的に祭りに関わった方が多く、祭り直後の多忙で貴重な時間を充当頂いたことに深く感謝している。

実家に着くと、周囲の素晴らしい秋の装いを堪能する間もなく、石黒のHPにも記載されていたが、長年懸念事項であったという道路工事が眼前で展開されていた。一方、学校や関連設備など旧公的設備も解体されており、眼に映る昔の面影はなくなっていた。その上、下石黒では「今年の越冬者は4軒になりそうだ」など何か気がかりなことが脳裏に残っている。

実家を離れる時には、大型観光バスが3台も連なって下石黒部落を通過していくのを見た。勝手な想像であるが、おそらく「石黒地域の秋の装いが美しく観光ルートの一部を成しているのであろう」と感じた。だとすれば、これらの観客が石黒地域で、より足を休めたくなるような(カラムシ街道祭りの発展型や道の駅などの村おこし)何か良い工夫はないものだろうか。余計なお節介と知りつつ、これからも元気な石黒地域であって欲しいと心から願わずにはおれない。

以上