ひとらごと   DATE20121024
 

       カマキリの巣による小雪予想
                      田辺雄司
 私は、あくまでもカマキリの巣の高低により大雪、小雪を予知できるものではないと思うが、私たち豪雪地帯に住む者は秋になると誰もが冬の雪のことを考える。
 今年は、秋の彼岸の頃までは猛暑が続き雨も少ない年であった。
 彼岸を過ぎてカヤやヨシの穂も出そろい、そろそろカマキリ巣作りが始まる時期となり私は少しでも低いところに巣を作ってほしいと願っているところだ。
 カマキリのような昆虫類には、人間にはない自然に関する知能のようなものがあるのではないかと私は思っている。
 大雪であった昨年の秋は、どこを見ても家の周りの壁板には一つの巣も見当たらないので、これはとんでもない所に作っているのではないかと心配しながら冬を迎えた。
 案の定、昨年は、12月末には、もう真冬並みの降雪、正月もそこそこで、その後は連日の降雪でみるみるうちに屋根下は山のように雪が積もった。
 特に2月に入ると雪は止むことを知らず毎日毎日が雪との闘い、疲れ果てて軒下でスコップの上に腰を下しているときに家の軒下にカマキリの巣を見つけ私は驚いた。地上より4mに近い高い所だ。これでは大雪になるはずだとつくづくと思った。
 今年の秋は、台風17号が本土に上陸しそうな予報なので家の裏口の落とし板をはめていた時に戸の上溝の近くに2個のカマキリの巣があった。「やあ、こりゃ去年よりはずっと低いぞ。小雪にちがいない。」と喜んだ。
 その後、近くの畑の傍に去年知人から頂いた綿花のタネを3、4粒播いたのが緑色のガクから白い綿が見えてきたので何とか腰をかがめて採って、ふと横を見ると傍ら杉の幼苗にカマキリの巣があったこれは地上60cmくらいだ。何年も続いた大雪だ、たまには小雪の冬があったっていいではないか、と勝手に思いカマキリの巣に向かって手を合わせた。
 必ずしも、私はカマキリの巣の高低からその年の積雪予測が出来ると思ってはいない。だが、私たちのように豪雪地帯に住む者は、何かに頼り何かを信じることによって少しでも心の安らぎを求めているのではないかと思う。
 せめて、今冬は積雪2mほどに止まってくれるなら、80歳代半ばを過ぎた自分にも雪片付けが運動がてらにできるのだが、ここ2、3年のような大雪になるとやりきれないほど骨が折れる。
 幸い今年は、長期予報によると暖冬とのことであるが、予報通りの暖冬小雪であることを心から祈っている。
 (石黒地区居谷在住)