ひとらごと   DATE20051001

 
            各集落を歩いて思ったこと

 昨年は春からホームページ「石黒の昔の暮らし」の「石黒の動植物」の写真撮影に各集落の道という道、すべてを歩いた。週3回ほど1日に5〜6時間歩いて撮った写真は26000枚を超えた。といってもデジタルカメラだから驚くほどの数ではないし使える出来ばえのものは1割にも満たない。
 生まれ育った自分の村でありながら他集落の田畑など何処にあるか殆ど知らなかった。恥ずかしながら自分の集落にも初めて行った田畑があった。石黒で「遠山」と呼ばれる田畑は自宅から3km以上離れたところにあることも珍しくないから無理もないことかも知れない。お陰で昨年は、自分の生まれた石黒のすみずみの田畑の場所まで歩くことが出来た。
 ところで、歩いてみて驚いたことは、荒れ果てて茫々たる原野に戻りつつある田畑が多いことではなく、実によく手入れの行き届いた田畑が奥山まで見られるということだった。「こんな所に、」というような所で思いがけず田畑に出会うこともあった。どんな山奥でも一枚の田畑があるだけでそこには温かい人の息づかいを感じるものだ。そしてそれは故郷の息づかいでもある。
 だが、大半の耕作者が老齢化の限界に達しつつある今、来年この田や畑に再会できる保証はない。今にも、原野が四方八方から押し寄せて来るようにも思われる。思わず自分は「今のうちに、」と何度もカメラのシャッターを押していた。