ひとらごと   DATE20041017

            クマの出没

 10月17日、待っていた爽やかな秋晴れが訪れ、山に入ることにした。本ページの「歳時記の中の動植物」の資料にする植物の撮影のためだ。
 リュックには、カメラと三脚の他に小型ラジオを入れて、手には生木の杖を持って出かけた。ラジオと杖は最近、石黒にも出没するようになった熊対策である。
 途中、村人が大きな鈴を貸してくれた。わざわざ熊対策用に買ったものだという。すんだ秋空の下、腰に付けた鈴の音のように軽やかな気分で山に向かった。山道を歩くときには、行き帰り右側を観察することにしている。野草の写真撮影は歩くことが鉄則である。
 1時間ほど雑木林を歩いた。主にブナ林であるが、実をつけている木は見られない。もともと、ブナは4、5年に一度、動物に食べ尽くされないほどの大量の実をつけて子孫を残す性質があるというが、それにしても今年は少ない。ナラ類のドングリも少ない。夏の異常な猛暑のためか総じて山の木の実が少ないようだ。
 そういえば、8月下旬にブナの木の下に一面に落ちた実を見て、今頃?、と不思議に思った記憶がよみがえった。あまりにも長く続いた日照りのため実が落ちてしまったのであろうか。

 この様子では、熊に限らず、他の小動物にとっても今年は食物が少なく、受難の秋になるかも知れない。