石黒の方言

生 活 編  
2100
音 声
〔Narrator〕
大橋トシヲ
また あした あすぼな、さーよ(さいよ)
また、 明日遊ぼうな、さようなら
さあぁさ、傘を わすえて 来とう
しまった、傘を 忘れて来たよ
さぶえと思ったら、たねにざぇ〔ぜぇ〕がはっとう 寒いと思ったら、池にが張ったよ
さえづつで、豆を つぶして 打ち豆を 作ってくれや
才槌で、豆をつぶして打ち豆を作ってくれよ
あのシトは、さかえぎったねぇ人間だすけ のう あの人は土地の境界をごまかしたがる人だからねぇ
よんべな てぇた マンマだが、さがってえねぇか

      (古語→サガル)
夕べ炊いたご飯だけれど、腐れかかっていないかね
縫い針を落としたすけ、ネラ、さがねてくれや 縫い針を落としたから、君たち、さがしてくれ
おらトッツァは、さかやもんで毎年 群馬に出稼ぎに えぐえね

      (酒屋・者)
うちの父さんは、杜氏で毎年 群馬に出稼ぎに行きますよ
さかよえが、でっけぇ声だして さわえでえらぁ
       
      (酒・酔い)
酔っぱらいが、大きな声だして騒いでいるよ
ショウヨを小出しに、するすけさがりぐちを 持って来てくれや 醤油を小出しに、するから漏斗持って来てくれよ
さきおっとえなから、やまんでエキが降るんがのう 一昨々日から、止まないで雪が降りますねえ
柿は、竹竿のさきっちょに、叉木を縛り付けて もぐと いいぞ
柿は、竹竿の先端に、叉木を取り付けてもぐといいよ
さきな、(さきながた)けぇった ばっか ですえね

   ※さあっきなに→大分前
さっき、帰ったばかりですよ
さきのようさ、えっせな地震が あったっけ なえ
     
      (先の・ようさり)
一昨夜、すごい地震がありましたね
ほら、おめぇ、さきんぼになって あべ

      (先棒)
ほら、おまえ、先に立って歩きなさい

じさ、ササ餅のササを取ってきてくらんの おじいさん、ササ餅〔下の写真〕に使うササを取ってきてください
昔話を聞くどきは、「さす」と言いながら聞くもんだえや

  (※聞ゆの謙譲動詞→さす)
昔話を聞くときは、「さす(聞き手の合いの手)」と言いながら聞くものだよ
雨ばっか降ってるが、さずえに へぇったんだろかのう 雨ばかり降っているけど、梅雨に入ったのでしょうか
おら、ジサのさしんも見ねぇで嫁に来たがんだえね わたし、じいさん(配偶者)の写真も見ないで嫁に来たのですよ
たまがして やると、さっくりが止まるってや

      (古語→サクリ)
驚かしてやると、しゃっくりが止まるそうだよ
あこのオジサは、なげこと そんちょを さっしゃったんだえね あそこのおじいさんは、長いこと村長をされたのですよ
おら、そこの オジサには、さっつぁ お世話に なったんだえね

      (古語→散々)
私、お宅のおじいさんには、長い間 お世話に なったのですよ
おまえたの アンサは、何仕事も一所懸命に さっしゃるのう お宅のアニサンは、何仕事も一所懸命におやりになります
へぇえ、さっつぁ ごっつぉに なったえね もう、 充分にご馳走になりましたよ

さぁってば、やっぱし、おやこしょだがね いざ(事あるとき)という時は、やはり親類ですよ
エキを掘って、さつまえもどこごしゃえをはじめましたてぇ 残雪を掘ってサツマイモ苗床作りを始めましたよ
寒に へぇったら、やっぱしさぶえのう 寒に入ったら、やはり寒いねえ
風邪しいたろかなえ、さぶけがしてきたえや 風邪引いたのかな、寒気がしてきたよ
あこのオッカァは、さべっちょだのう

      (さべる)
あすこの家の奥さんは、おしゃべりだねぇ
ねら、やかまし すけさべんな
君たち、うるさいから喋るな
女のざまして、アクシかくんだねぇお 女のくせして、アグラかくものではないよ
ばさ、あんげん でっけぇ家に、しとりで さむしくねぇかえ おばあさん、あんな大きな家に一人で寂しくありませんか
なんしね、この子は、さらえんな学校へ出るがんだえね

いいえ、この子は、再来年学校に入るのですよ
このセェ、さらがって(さらげて喰ってくんなせえ

        (攫う)
このおかず、かき集めて全部食べてください
ねら、そんげんどこへ えって、沢にさらげおちんな
おまえたち、そんなところへ行って沢に滑り落ちるな
おっか、えたの間がざらっぽえが、へぇて おえてくれや

かあさん、板の間がザラザラするが掃いておいてくれよ
ことしゃ、ザラメエキが えっぺぇだすけ、エキげぇが はえぞ
今年は、粗目雪が多いから、雪消えが早いよ

川へ、ざるしきに行ごてぇ 川へ、ざるすくいに行こうよ
きょは、何軒かさわえで来たんだんが、かぇりが遅くなっとう
今日は、何軒か用を足して来たので帰りが遅くなったよ
さわぎがあると、でっけえ家が いいと思うんがのう

     (騒ぎ →取り込み事)
行事(冠婚葬祭等)があると、大きい家がいいと思いますよねぇ
風邪しく がんでぇやら、背中がざわざわしてきたえや
風邪を引くのやら、背中がぞくぞくしてきましたよ
沢だち登って行くと、城山の城跡に出るえね
沢に沿って登って行くと、城山の城跡に出ますよ
もう、さんざっぱら ごっつぉに なったえね
       
       (散−)
もう、おなかいっぱいご馳走になりましたよ
ネラ、ネラ、さんじゃくもんに、トットが、おったえや おい、おいだれか、肥溜め桶(便器の下にふせてある直径三尺高さ五尺程の木の桶)に鶏が落ちたよ
あの子ばっかしゃ、さんじょっぱらえにして けぇって えったえや

 (@散状−A三十日払いB三条−)
あの子ったら、後かたづけをしないで 帰って行ったよ
しとのざんぞばっか してるんじゃねえや

      (讒訴・讒奏)
人の悪口ばかり言っているものじゃないよ
ハサに稲を掛けるすけ、一束ずつさんだしてくんねぇか

      (差し出す)
ハサに稲を掛けるかけるから、一束ずつ差し出してくれないか

俵編みが終わって、キンナからさんべぇしを作って えますえね

      (さんだらぼうし)

俵編みが終わって、昨日からさんだわらを作っているのですよ